【鉄鍋に込められた、職人の技術と誇り】
こんにちは。プロキッチン店長みさこです。
鉄の中華鍋、フライパンで人気の「山田工業所」さん。
実は、プロキッチンが始まるずっと前からお取引させていただいているメーカーさんです。
というのも、プロキッチンの社長の実家は、業務用のキッチン道具を扱う卸問屋。そんなご縁もあって、私も山田工業所さんとは長いお付き合いをさせていただいていて、これまで何度か工場にもお邪魔しています。
今回も工場を訪ねてきました。
鉄鍋の話になると止まらない、山田社長
山田工業所の2代目社長、山田豊明さん。
お会いするといつも楽しいお話を聞かせてくださるのですが、鉄鍋の話になると、とにかく止まりません(笑)。
「鉄のことが本当に好きなんだなぁ」
お話を聞いていると、そんなことが伝わってきます。
そして、長年この仕事を続けてきたことへの誇りも感じます。
正直、ちょっと羨ましくなるくらい。
「自分の仕事に、こんなふうに誇りを持てるって素敵だな」
と、いつも思います。
そして、その思いを受け継いでいるのが、息子さんの憲治さんです。
これまた、とても良い方なんです。

お客様からの要望には基本的に、
「断らない」
「なんでもやります!」という姿勢。
そんな山田工業所さんだからこそ、プロキッチンの「こんなのがあったらいいな」を形にしてもらった商品があります。
それが「ちょこっとフライパン」です。

そして今回も、さらにお願いしたいことがあって相談してみたところ……「できますよ!」とのお返事。いやいや、ちょっと待ってください(汗)
今でも生産が追いついていないのに、そんなに受けちゃって大丈夫なんでしょうかね(苦笑) といいつつも、お願いしちゃう予定ですけどね(笑)
「いつ入荷しますか?」と聞かれる理由
プロキッチンでも、山田工業所さんの商品は在庫切れになることが多く、「次はいつ入荷しますか?」
というお問い合わせをいただくことがあります。
お待たせしてしまって申し訳ないのですが、その理由を工場で改めて知ることができました。
山田工業所のフライパンは、1枚ずつ職人さんの手によって作られています。プレス加工なら、機械で「ガシャン!」と型を抜いて、同じ形のものを次々と作ることができます。でも、山田工業所さんは違います。

1枚の大きな鉄板から材料を切り抜き、それを職人さんが機械で約5000回も叩いて、少しずつ形を作っていきます。そして、へりを1枚ずつ整え、取手を取り付け、磨いて、ようやく、1枚の中華鍋が完成します。

5000回。
数字だけ聞いても、その大変さはなかなか想像できません。
これも機械とはいえ、誰もができる作業ではありません。
打ち出した中華鍋のフチは波打ってます。
しかも、すべての工程を誰でもできるわけではなく、限られた職人さんにしかできない工程もあるそうです。
波打ったフチを1枚ずつ平らにしていきます。
その職人さんが病気やケガなどでお休みすると、その工程が止まってしまう。
そうすると、当然、製品の完成数も減ってしまいます。

「手作りだから時間がかかる」というだけではなく、長年培ってきた職人さんの技術そのものが、生産を支えているんですね。
一人前になるまで約3年。
応用力が身につくまで約10年
では、この技術はどのくらいで身につくのでしょうか。
センスの良い人でも、一人前になるまで約3年。そして、さらに応用力が身につくまでには約10年かかるそうです。
しかも、若い方の中には、そこまで技術を身につける前に辞めてしまう人も多い。それだけ、簡単には身につかない技術なんですよね。
でも、だからこそ、この技術は山田工業所さんにとって大切な財産なんだと思います。今回、工場を訪ねて一番印象に残ったのが、このお話でした。
「あえて機械化しない」という選択
生産性を上げようと思ったら、金型を増やしたり、機械化を進めたりする方法があります。でも、山田工業所さんは、あえてそれをしない。その理由を聞いて、山田工業所の製品が愛される理由が分かった気がしました。
「生産性を上げるために、金型を増やしたり機械化を進めたりすることはあえてやらないんです。職人が1つひとつ叩いて形を作る工程を残すことで、技術の継承と応用力の維持を重視しています。機械で簡単にできるようになると、今やっていることができなくなって、応用が利かなくなってしまうでしょ。この技術を受け継いでいくために、あえて機械化しないんです。」
「生産性を上げるために機械化する」のではなく、
「技術を残すために、あえて機械化しない」。
いやー、ほんと、この話は初めて伺いましたが、そうなんですねー。
そういうことなんですねー。うんうん。
便利にすることだけが、正解じゃない
今の時代、仕事を効率化したり、機械化したりすることは、決して悪いことではありません。むしろ、できることなら効率よく、たくさん作れるようにしたい。でも、効率だけを追求してしまうと、その過程で失われてしまうものもある。
山田工業所さんが守っているのは、単に「昔ながらの作り方」ではありません。鉄の状態を見て、叩き方を変えたり、形に合わせて力加減を変えたり。長年の経験によって身につけた「応用できる技術」です。

機械では同じものを作ることはできても、目の前の鉄に合わせて「今日はこう叩こう」と判断することはできません。
その判断ができる職人さんを育てるために、あえて人の手による工程を残している。そう考えると、1枚の鉄鍋を見る目も少し変わってきます。
工業製品だけど、人の手でつくられている
今回の工場見学で、私が改めて感じたのは、
山田工業所の製品は、工業製品でありながら、その品質は職人さんの手仕事によって支えられている。
ということです。

工業製品というと、機械によって同じものを効率よく、たくさん作るイメージがあります。でも、山田工業所さんの鉄鍋は、その中に職人さんの技術や経験がしっかりと息づいています。

もちろん、1枚ずつ手仕事で作るからこそ、生産数や納期には限りがあります。
でも、それは決して「仕方がないこと」だけではなく、
「手仕事だからこそ生み出せる品質」を守るためでもある。
そう考えると、在庫切れでお待たせしてしまうことも、少し違った意味に感じられます。もちろん、私たちもできるだけお客様をお待たせしないようにしたい。
でも同時に、この手間と時間をかけたものづくりがあるからこそ、山田工業所さんの鉄鍋には、この鉄鍋ならではの良さがあるのだと思います。
一つひとつに、人の技術と経験が込められている。
それこそが、山田工業所さんのものづくりの大きな価値なんだと、今回の工場見学を通して強く感じました。
1枚の鉄鍋の向こう側にあるもの
私たちは普段、商品を「中華鍋、フライパン」というひとつの製品として見ています。でも、その1枚ができるまでには、
鉄板を切り抜く人がいて、
約5000回叩いて形を作る人がいて、
へりを整える人がいて、
取手をつける人がいて、
磨く人がいる。
そして、その技術を身につけるために何年も経験を積んできた職人さんがいる。そう考えると、「在庫がないから、早く作って!」なんて、簡単には言えなくなりますね(笑)。

もちろん、プロキッチンとしては、お客様にできるだけ早く商品をお届けしたい。
でも、その一方で、この時間のかかるものづくりがあるからこそ、山田工業所さんの鉄鍋は山田工業所さんの鉄鍋であり続けられるんだと思います。
今回、工場を訪ねて改めて感じたのは、
「ものを作る」ということは、技術を作り、そして技術を次の世代へ渡していくことでもあるんだな
ということ。

日本のものづくりには、こうした「効率だけでは測れない価値」が、まだまだたくさん残っています。
プロキッチンでは、これからも商品のスペックや価格だけではなく、
「誰が、どんな思いで、どうやって作っているのか」
そんなところまで、みなさんにお伝えしていきたいと思っています。
山田工業所さんの鉄鍋を手に取ったときには、ぜひ一度、約5000回叩いて作られていることを思い出してみてください!!
そうすると、いつもの鉄鍋が、ちょっと特別なものに見えてくるかもしれません。フフ。

左から3代目、4代目、2代目
山田さん、ご案内ありがとうございました!!!