中華せいろができるまで、そして使い手に届くまで~工房見学~

投稿日: カテゴリー メーカー訪問, 店長ブログ

せいろブームと言われる今日この頃ですが、その歴史は古く、紀元前3000年頃中国が発祥とされています。日本へは奈良時代に伝わったとか。

ずーっと使われてきたせいろですが、ここ最近のブームにはせいろもびっくりでしょう。
「え、ぼく、何も変わってないのに、最近めちゃモテまくってるじゃん♪」
といった感じでしょうか(笑)

ひとつの要因として、SNSの普及も大きいでしょうね。
TVや雑誌で見るよりも、もっと身近な普通の人たちが発信する普段の調理が、「わー!私にもできそう!」と思わせてくれたんでしょう。

プロキッチンではもちろん、ブームになる前から扱っています。
その中でも長いお付き合いをさせていただいてる「山一」さん。
長野県の木曽にあり、地場問屋として作り手と使い手をつなぐ役割をしています。

今回は、その山一さんにアテンドしていただき、中華せいろを製造するマルヤ製作所さん、和せいろを手がける早川曲物さんを訪ねました。

せいろができあがるまで。そして、私たち使い手のもとに届くまで。
普段はなかなか見ることのできない、ものづくりの現場を訪ねたお話です!

完成したせいろからは見えないこと

今回訪ねたのは、中華せいろを製造するマルヤ製作所さん、和せいろを作る早川曲物さん、そして両者の商品を取り扱う山一さん。

私たちがお客様にご紹介しているのは、基本的には完成した商品。どんな工程を経て作られているのか、どんな人が作っているのか、そして、どんな思いで私たちのもとに届けられているのか。知っているつもりでも、実際には知らないことがたくさんありました。

製造の現場を見せていただき、実際に手を動かし、作り手と商品を届ける人たちの話を聞いて見えてきたのは、せいろづくりの大変さだけではありませんでした。

いいものを作る人がいて、その価値を伝える人がいて、初めて使い手に届く。

板を削り出すところから始まる、中華せいろづくり

最初に訪ねたのは、中華せいろを製造するマルヤ製作所さん。

中華せいろの製造は、大きな木から板を削り出すところから始まります。厚さ5mmほどの板に仕上げ、それを蒸して曲げる。そこから、せいろの形にしていく工程が始まります。

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ひのきの板を蒸して柔らかくする

驚いたのは、マルヤ製作所さんが、こうした材料づくりから自社で行っていること。他社では、すでに曲げられた材料を仕入れて組み立てるところも多いそうですが、マルヤ製作所さんでは、素地となる板を作るところから仕上げまで、一貫して手がけています。

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柔らかくなった板を丸く形を作る作業
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乾燥させる

その工程はなんと30以上だと聞いてビックリ!

職人さん一人が一日に作れる数は、わずか4個ほどだとそうです・・・
なかなか入荷しないのは、こういう事だったんですね~。

見た目だけではわからない、せいろの工夫

今回、特に印象に残ったのが、中華せいろの輪の構造です。
マルヤ製作所さんの中華せいろは、輪の部分が他のものと比べても分厚いんですね。それは、ただ丈夫に作っているだけなのかと思っていたのですが、そこにも工夫があったんです!

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普通のせいろとは比べ物にならないほど厚い!

外側から見ると、厚みのある幾重もの輪に見えます。ところが実際には、上下に短い板のものを重ねた構造になっていて、真ん中は空いているのだそう。この構造によって強度を持たせるのはもちろん、冷めにくく重さも軽減されているんです。完成品を見ているだけでは、なかなか気づけない部分ですよねー。

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せいろの枠と内側につける上下の枠
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真ん中が開いている状態

また、手に触れたときにざらつきが残らないよう、細かな部分まで調整しながら仕上げていました。見えないところにも手をかけ、ひとつひとつの工程を積み重ねていくのです。

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1つ1つ職人さんによって丁寧に作られていく

蓋にも工夫がありました。編み方や二枚重ねの構造によって、蒸気がほどよく抜けるように考えられており、強度にもつながっているそうです。

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目の組み方も蒸気の抜け具合をちゃんと考えられています
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1枚1枚目を詰める作業
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2枚を重ねて十字で更に強度をもたせる工夫

どれも、使うときには意識しないかもしれない部分。でも、こうした細かな工夫が、道具としての使いやすさを支えているのだと感じました。

「長く使える、実用の道具を作りたい」

マルヤ製作所さんのお話で、心に残ったのが、ものづくりに対する考え方です。

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「安さを追求するよりも、多少高くなっても、いいものを作りたい。」

せっかく使ってもらうのなら、長く使ってほしい。そして、一度買ってくれた人が、また買いたいと思ってくれるものを作りたい。目指しているのは、形だけの芸術品ではなく、実際に使える道具ということ。

もちろん、世の中には手頃な価格で、見た目のよく似たせいろもあります。そのなかで、手間をかけて作るものの価値をどう伝えていくのか。それは、作り手にとっても、私たち売り手にとっても、大きな課題です。

「まずは手頃なものから試して、もっといいものが欲しくなったときに選んでもらえればいい」そんな考え方も伺いました。

最初から誰もが高価な道具を選ぶわけではありません。使ってみて、せいろのある暮らしが気に入り、もっと使いやすいもの、長く使えるものが欲しくなったときに選んでもらう。

そのためにも、何が違うのか、なぜこの価格なのかを、私たちがきちんと伝えなければいけないと感じました。

マルヤ製作所が作る山一の中華せいろはこちらです。

それでは次は、和せいろを作る現場に行きましょう。