投稿日:2019年5月29日 | 更新日:2023年1月30日
プロキッチン 三木です。
不定期連載しているお手入れシリーズ第2段は
みなさんお待ちかねの
『鉄中華鍋の再生方法』です。
以前、スタッフ幸塚がご紹介した
美味しさが違う!一生使える相棒、ちょこっとフライパン
のブログで、
チラッとお話が出ていた
中華鍋をよみがえらせる方法を
いよいよご紹介したいと思います。
みなさんの中にも
ちゃんと油ならししたはずなのに
どうして焦げついちゃうのよ!とか、
きれいに洗って乾かしているはずなのに
なんでサビてくるわけ?!と、
泣きながらシンク下に
しまいこんでしまっている方も
少なくないのではないでしょうか?
使っているうちに
だんだんと焦げつきやすくなってきてしまって
悩んでいるそこのあなたも含め、
諦めるのはまだ早いです。
今からでも蘇らせることができますので
ご安心ください。
今回は、焦げやサビがついたまま
見て見ぬ振りをしいてた
山田工業所 鉄打出【木柄】片手中華鍋 (1.2mm) 27cm 空焚き済み・平底
を、スタッフ幸塚も実践した通り
①焦げを焼き切り
②やすりで落とす
③焼き入れをする
④油ならしをする
の手順で蘇らせていきたいと思います!
まずは、焦げとサビがついてしまった
中華鍋の姿がこちら。
側面にも錆や油のこびりつきが見られます。
かわいそうなことをしてしまった・・・
ごめんよ中華鍋ーーー!
そんなわけで
まずは、今回使用したアイテムをご紹介。
(サンドペーパーに耐水と書いてありますが、
通常のサンドペーパーで問題ありません。)
・サンドペーパー(私は#120→#240→
#500の順で仕上げました)
・クレンザー
・スポンジ
・ゴム手袋やビニール手袋(私は終始素手で
作業していたため、爪の間など真っ黒で
大変なことになりました ^^; )
・エプロン(あった方がお洋服が汚れません)
・マスク(あった方が良いです)
・新聞紙(黒い粉がでるため)
※サンドペーパーは数字が大きくなるほど
目が細かくなります。
粗さに関してはお好みですが、
初めの焦げつきやサビを落とすためには
粗めの#100〜#150がよいです。
私は個人的に#100は粗すぎると思ったので
#120から始めました。
#120でも研磨のあとがついてしまいますが
最終的に細い目で仕上げれば
さほど気にならなくなるのでご安心を。
今回の焦げ付きは
すでに真っ黒に炭化されているので
軽くヘラでこそげ落としたあと、
②の手順
・やすりで落とす
からやっていきたいと思います。
もし、焦げつきをふやかして
たわしでこすっても落とせなかったら、
黒くなるまで火にかけて炭化させ、
完全に冷ましてからヘラでこそげ落として
やすりをかける作業に入ってくださいね。
それでは実際にこすっていきましょう。
まずは目の粗い#120から。
続いて#240で更にこすっていきます。
側面のカーブは、このように立ててこすると
作業しやすいです。
錆や焦げが粉になってますね。
削って粉になった焦げを一度洗い落として
乾かした様子がこちら。
最初と比べるとだいぶきれいになりました。
引き続き、さらに目の細かい#500で
こすっていきます。
ここの作業はお好みなのですが、
#240でもだいぶ滑らかになるので
面倒な方は#500までかけなくても
大丈夫です。
こすっていてわかったのですが、
表面はツルッとして見えるけれど、
地の銀色の鍋肌が見えてくると、
ちゃんと打ち出して作っているために
表面に凹凸があることがわかります。
ここからクレンザーで更に表面を磨きます。
裏側の錆びていた部分や
調味料の焦げつきなども落としていきます。
徐々に泡が黒くなっていくのがわかります。
クレンザーで磨いたあと、
水洗いして乾かした様子がこちら。
新品と見まごうほどきれいになり、
どこが焦げついていたりサビていたのか
全くわかりません!
今回のやすりがけの作業で、
鍋肌の銀色の地が露わになったので
次は③の手順
・焼き入れをする
で、『酸化被膜』を作っていきます。
※焼き入れをする際は必ず
換気扇を回しながら行ってください。
鍋底を中火で火にかけていると・・・
火に当たっている部分の色が
青っぽく変化してきましたね。
続けて加熱していると・・・
青から青白い色に変化してきました。
側面もこの調子で焼いていきます。
全体がまんべんなく青白くなったら
焼き入れ作業は終了です。
今回の場合は、板厚が1.2mmだったのと、
SIセンサーのついていない
コンロで加熱し続けられたので、
焼き入れの時間は20分ほどでした。
SIセンサーのついているコンロの場合、
加熱し続けることができないため、
カセットコンロでの作業をおすすめします。
スタッフ岩崎のブログ
『鉄フライパンの空焼き方法』にて、
実際にカセットコンロで空焼きした時の様子が
書かれているので、あわせてお読みください。
最後は④の手順
・油ならしをする
を行い、鍋肌に『樹脂層』を作っていきます。
私は今まで、
「油をなじませるだけでいいじゃん」
と思いながら、何も考えずになんとな〜く
説明に書いてあるからと言う理由だけで
『くず野菜を炒める』という行為を
行っていました。
しかし、そこにはちゃんと理由がありました。
野菜を炒めることにより、
その水分などで油の劣化を早め
鍋肌に効率よく重合した油の膜『樹脂層』
を作ることができるのだそうです。
簡単に言ってしまえば、古い油の膜です。
油返しをなんども根気よくするのでも
いいそうなのですが、
くず野菜を炒める方がより早く
樹脂層を作ることができるのです。
この、空焼きによる『酸化被膜』と
油ならしによる『樹脂層』により
焦げつきにくく、サビにくくなるそうです。
理由がわかったところでさっそく、
くず野菜を多めの油でいためていきます。
鍋肌がうっすらちゃいろくなって
野菜もかなり黒くなるまで炒めます。
十分に炒めて黒くなったら野菜を捨て、
お湯とたわしで優しく洗います。
水分を拭き取り中火にかけ完全に乾かし、
仕上げに薄く油を塗ったものがこちら。
なんということでしょう!
まるで下ろしたての新品のように
つややかに輝いています。
早速玉子を焼いてみた写真がこちら。
焦げ付くこともなく、
スルッとお皿にスライドできました。
ここまでの作業で正味2時間半かかりました。
大半がやすりがけの時間ですが・・・
手間のかかる子ほど愛着が湧くとは
このことで、汗をかきながら蘇らせた
中華鍋は我が子のように思えてきて、
大切に使おう!という気持ちになります。
もし、失敗して焦げ付いちゃったり
錆びてきてしまってもあまり難しく考えず、
「また蘇らせればいいや」くらいの気持ちで、
気軽に鉄と付き合っていきましょう。
表面をコーティングされているものと違い
ただの鉄だからこそ、やり直しがきくのです。
みなさんも是非、
しまいっぱなしでどうしていいかわからない
鉄フライパンや中華鍋を
根気よく蘇らせてみましょう!
焦げつき知らずの頼もしい相棒に変わること
請け合いです!
さて、今回の『鉄中華鍋の再生方法』ブログは
いかがでしたか?
少しでもお役に立てたらうれしいです。
次回は、蘇らせた中華鍋で
何かを作ってみたいと思います!
やっぱり中華鍋っていったら○○かな?
それでは、お楽しみに〜!
山田工業所の商品はこちら。
↓プロキッチンスタッフがなぜ鉄をオススメするのか。
鉄の魅力にせまります。
過去に、アルミ鍋のお手入れ方法のブログも
書きましたので、是非そちらもご覧下さい♪