【燕三条出張記⑤】台屋の鰹節削り器 ~職人さんにQ&A~

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プロキッチン 岩崎です。

ブログを読んでくれている方はご存知かと思われますが、10月に新潟で「工場の祭典」が行われていました。すでに一緒に行ったスタッフたちが書いている通り、包丁工房タダフサ柳宗理など、当店でも取り扱っている製品ができあがるまでの製造過程を見学させていただいたり、いろいろ美味しいものを食べたり美味しいものを買いに行ったり(?)盛りだくさんの出張となりました。

今日は以前ご紹介した台屋の鰹節削り器を制作している「山谷製作所」さんにインタビュー。

鰹節削りのことから職人さんの思いまで、
お伝えできればと思います!

Q1.当店で扱っている鰹節削りの種類
【SK】と【青紙】はどう違うの?

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↑(左:SK 右:青紙)

「(価格帯が違うので)刃の作り方が違うのはもちろんですが、青紙の方が刃のもちがいいのが違いです。SKは青紙よりも安価な素材ですが、鰹節削りで使っているSKはSK5という種類のもので、SKの中でもよいものを使用しています。」

Q2.ウォールナットでも、ブナでも、カンナ部分がブナなのはなぜ?

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↑ウォールナットの鰹節削り。カンナ部分は白木です。

「ウォールナットでもブナでも、カンナ部分は【白樫】の木を使用しています。理由としてはカンナの用途に樫の木の性質が合っているから。竹の繊維と似たように、折れにくくしならない。そのうえ、樫の木ほど粘る木はないんです。ブナと樫が似て見えるのは、基本的には同じ仲間だからですね。海外だと「オーク」でひとくくりにされているので。」

このカンナ部分の樫の木は栃木産のものを使っているそうです。刃も含め、鰹節削りに使用する材料は国産を使うようにしているとのこと。
(ウォールナットは外材を使用しています)

Q3.なぜすべて手作業で作っているの?

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↑積み上げられたカンナ、刃も台座も全て手作業です。

「カンナに使われる刃は職人さんが1枚ずつ手作業で作っています。なので、刃のかたちも1枚ずつ微妙に異なっているんです。そうなると、合わせて外枠の木も微妙に異なった形で仕上げなければならないんですね。」

Q4.この職人技、私たちのような素人が習得するまで何年くらいかかりますか?

「毎日同じ作業をするのであれば1年くらいですね。1日8時間、毎日同じことをしたとして。でも、昔は人がたくさんいたので、毎日同じ作業に専念することができたんです。今は人が少ないので、一つの作業が終わったら次の作業もやらなきゃいけない。そうなると、最低でも3年はかかると思います。趣味の世界と仕事の世界の境目は1500時間くらいかな、と思っていますよ。」

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そう言って見せてくれたノミと棒。
この上の棒、実は元はノミなんです。
毎日毎日研いで使って、20年ものになっているそう!

こうやって実際に作っている様子、職人さんのお話を聞くとプロとしての誇りや製品への知識にぴっと背筋が伸びる思いになり、同時に、ぐっと製品に愛着が湧いてくるのを感じます。職人さんの技術と思いがぎゅっと詰められた鰹節削り、プロキッチンのお客様にもぜひ「日本の技術」を味わってほしいなと思います!