一生ものの包丁です

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プロキッチン バイヤー中島です。

結婚前に友人のお母様から
懐石料理を習っていました。

嫁いだ娘に料理を教えたいけれど
親娘一対一では穏やかには進まない気がして。。。
という事で、私に声がかかりました。

初めての料理教室が懐石料理!?
と最初は戸惑いましたが、
毎月美味しいものが食べられるし、
友人にも会えるし、
家庭料理のリクエストにも応えてくれて、
それはそれは楽しい習い事でした。

毎回お出汁はしっかりとカツオ節と昆布でとり、
お味噌汁も馬の毛の濾し器で2回も通します。
丁寧に作ることの大切さを学び、
季節を感じる献立にも感動しました。

料理をする上で、
調理道具選びも重要になってきます。
中でも印象に残っているのが、
先生が使っていらした包丁で
かなり使い込まれた小さな包丁。

「この包丁は結婚した時に買ったもの。
前はこれくらいあったのに、40年近く経って
こんなに小さくなってしまったのよ。」

先生の使い込まれた包丁は鋼の包丁。
「切れなくなったら研いで」
を繰り返しているうちに
小さくなった包丁は今も現役。

包丁は常に数本置かれていましたが、
先生が手に取るのはいつも
その鋼の包丁でした。
切れ味が全然違うそうです。

でも鋼の包丁ってちょっとハードルが高くありませんか。
ステンレスと違って錆びやすいので、
お手入れが大変なのでは?
と私も思っていました。

しかし刃物問屋の方に伺うと、

使ったら洗って拭く

これさえ守れば大丈夫との事。
またちょっと錆びてしまったとしても、
研ぎなおせば問題ないそうです。
サビトールでこすってあげてもいいですね。

そのお手入れのひと手間よりも
ステンレスより3倍長持ちするという切れ味の
メリットの方が大きいのではとの事でした。

この度、プロキッチンでも
「切れなくなったら研いで」を繰り返し
私のお料理の先生のように自分の相棒として
生涯を共にする「鋼の包丁」を
お取り扱いすることにしました。

刃物問屋の担当者からおすすめされたのが、
若き鍛冶職人の進藤さんの包丁。
高知の山奥に自力で作業場を構え、
一人コツコツと作業していらっしゃいます。

昨秋、高知へ出張に行った時に
進藤さんの作業場にもお邪魔してきました。

新進気鋭の鍛治職人
進藤恭平さん。

子供の頃から好きだった物造りを仕事にしたいと思い、
鍛冶屋という将来の夢を持ち始めたそうです。

始めは日本三大刃物産地でもある
岐阜県関市にも行ったそうですが、
自分が求めている鍛冶屋のイメージに近いのは
高知だと知り、高知へ移り住んだのだとか。

土佐打刃物は自由鍛造が特徴です。
自由鍛造とは、用途応じて寸法や柄の角度を
自由なかたちで作る製法のことです。

また山林などで使う道具を
ルーツにしているので、
丈夫で使い勝手が良いのが特徴です。

海も山もある土佐の大自然の中で
型にはまらず、信念をもって
自分の作りたいものを
自分の手で作り出す。

私も物を作ることが好きなので、
とても羨ましく感じました。

プロキッチンではご提案いただいたものから、
使いやすい形、サイズを検討し、
全部で3種類をセレクトしました。

まずは小回りの利く
黒打両刃舟行包丁 150mm

* * * * * * *
THE万能包丁
黒打両刃文化包丁 165mm

* * * * * * *
野菜をスパッと切るなら
黒打両刃菜切包丁 165mm

この3本さえあれば大丈夫
という基本の3本です。

事務所にサンプルが届いた時
「かっこいいー!」
という声がスタッフから飛び交いました。

特に私は作業場も見学させていただいたので、
「あそこで生まれたものなのねー」
と思うと感慨深いものがありました。

黒い持ち手は
栗の木を焼いたもの。
手にフィットして持ちやすく
軽くて疲れにくいですよ。

「進藤君の包丁は
よく切れるということで、
欧米で大人気なんですよ。」

と刃物問屋の担当者が
仰っていましたが、
個人で作られている包丁が
海外で人気というのはすごいですよね。

使い始めに少し切りにくいと感じた時は
さび止めのコーティングの影響かもしれません。
普通に使用しているうちに自然に取れていくもので、
害のないものですのでご安心を。
軽く研いでコーティングをとってあげると
切れ味が戻りますよ。

コマーシャルでも見かけるような
トマトの薄ーいスライスも
お手の物です!

よく切れる=刃が薄め
ということもあります。

刃こぼれを防ぐために
まな板は刃当たりの優しい、
木のまな板をお勧めします。

同じ土佐は四万十のヒノキを使った
まるいまな板や、
スタッフの中でも愛用者が多い
軽くて取り回ししやすい
桐のまな板がおすすめですよ。

包丁研ぎに関しては、
砥石の紹介や用語の説明、手順を
プロキッチンの包丁研ぎ師 
中澤が分かりやすく解説しておりますので、
是非こちらをご覧くださいね。

長年料理をしていると
包丁の切れ味は、
味を左右することに気づきます。

切れ味長持ち、
お手入れをしながら一生付き合える、
進藤さんの鋼の包丁
是非手にしてみてください。