\ おいしい酢飯の作り方 /
ひな祭りなどのハレの日に作るちらし寿司や、子どもたちが集まる食事会で手軽に楽しめる手巻き寿司。酢飯を使った料理は、意外と日頃からよく作られているものです。特にちらし寿司は、具材をアレンジするだけで見た目も味わいもガラリと変わるため、いつでも新鮮なおいしさを楽しめます。さらに、飯台を使って盛り付ければ一層見栄えが引き立ち、ごちそう感のあるおもてなし料理になります。
しかし、酢飯づくりにおいては「ごはんがべちゃっとなってしまう」「飯台を使いこなす自信がない」といった声を耳にすることも少なくありません。悩みはそれぞれですが、基本の作り方をしっかりマスターするだけで、いつもの酢飯が劇的においしくなります。
今回は、すし作家・岡田大介さんに、基本の酢飯づくりのきほんを教わってきました。
岡田大介(おかだ だいすけ)
すし作家
東京都文京区にて完全紹介制・完全予約制の寿司屋「酢飯屋(すめしや)」を経営後、現在は博多を拠点に「すし作家」として活動。魚や野菜、調味料、器などの生産者を訪ねて全国を巡る日々を送る。また、日本各地の郷土寿司を学び継承することをライフワークとしており、『季節のおうち寿司』をはじめ著書も多数出版。
酢飯づくりの基本の“き”
酢飯づくりのポイントとなるのは「合わせ酢のきほんの配合比」「飯台」「さらし」の3点です。特に、合わせ酢の基本の配合を覚えておけば、いつでも同じ味に仕上げられるだけでなく、お稲荷さん用など好みの味へのアレンジもぐっと簡単になります。
飯台をお持ちでない方は、ボウルで酢飯を作ることが多いかもしれません。しかし、実はそれが「ごはんがべちゃっとなる」原因のひとつ。飯台で作ると、木肌が合わせ酢やごはんの水分量をちょうどいい塩梅にコントロールしてくれるため、べちゃつきを防げます。また、浅く広い形状はごはんを混ぜやすく、ボウルのように底に水分がたまることもありません。合わせ酢をムラなく全体に行き渡らせることができるため、おいしく仕上がるだけでなく失敗もないのです。酢飯はパラッと感が何より大切ですから、飯台をぜひご用意ください。
最後のさらしはしゃもじや飯台についたごはん粒を払ったり、ちょっと手を拭いたり、細々とした作業をサポートしてくれます。
それでは、酢飯づくりの工程をご紹介します。
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米酢、塩、砂糖を分量どおりに混ぜあわせます(菜箸を複数本使うと短時間で効率アップ)。しっかりと溶かすことで味ムラのない合わせ酢になります。
飯台はあらかじめ10分程度水を張っておくと、炊きたてのごはんでも粒がつきにくくなります。乾燥してる状態で移すとごはんの水分を吸い過ぎてしまいます。
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お米の0.8倍の水でごはんを炊き、十分に蒸らしたら飯台へ。直接、飯台へ移さない時はさらしを敷いたボウルに入れてさらしごと飯台へ移します。
ボウルから飯台に移すとき、間にさらしをかけておくと隙間にごはんが落ちず周りを汚しません。
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飯台に炊き立てのごはんを移したらすぐに合わせ酢をまわし入れます(熱々のごはんにかけないと酢が飛ばないのでできれば1分以内に)。しゃもじを使うと無駄なく全体に行き渡らすことができます。
この段階では想像以上に合わせ酢の量が多く飯台の中が合わせ酢の海のようになっています。でも慌てない、慌てない。
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しゃもじを飯台に対してほぼ垂直に向けて、ダマをほぐすイメージで酢飯を切る。しゃもじは反った方を内向きにするとごはんが飛び散りません。
ヘラの場合は気にしなくて大丈夫。ダマはつぶすイメージだとごはんがべちゃつくので注意。
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全体を切り終わったら酢飯をひっくり返し中央に集めて山にする。酢が上から落ちてムラがなくなる。そしてまた全体に広げる。
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ここでさらしの出番!しゃもじにごはん粒がついたままで切っていると酢飯に粘りが出てしまうので、水に浸したさらしでさっと払い落とします。
飯台のまわりについたごはん粒もそのままにしておくとカチカチになって食感が悪くなるので、さらしでさっと落としておく。
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うちわであおぎ酢を飛ばし、一気に酢飯を冷まして艶を出す。手をかざした時にふわっと温かさが伝わる温度が適温。
うちわであおぐ作業は時間をかけなくてもOK。あおぐことでごはんが吸った酢をしっかりと中に閉じ込めます。
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最後に飯台に接している酢飯を再度返すことで、酢を全体に行き渡らせ酢飯の熱を冷ます。出来上がったら濡らしたさらしを飯台を覆うようにかぶせておきます。
何回も返すとべたつきが生じるので注意!完成した酢飯を味見してみると意外に酸味がなく、気持ち甘めの印象でした。しかし、この塩梅がちらし寿司を作ったときの絶妙なバランスを生みだすんです。
おいしい酢飯ができたら、次はいよいよちらし寿司作りです。 まずは、京都・京丹後の郷土寿司「丹後ばらずし」をベースにしたレシピを3つ教えていただきました。味の決め手となるのはサバのおぼろです。
作り方は簡単、サバ缶の汁気を切ってフライパンで5分くらい焦げないように炒るだけ。ほんのり甘い「サバのおぼろ」が全体の味をまとめてくれています(サバ缶はしょう油味やみそ味など味の付いているものがおすすめ)。
基本のちらし寿司は、椎茸、かんぴょうにしっかりと味をつけて煮るので、錦糸卵や野菜は敢えて味付けをせず素材から出る味わいを大切にしています。優しい味わいのちらし寿司はいくらでも食べられちゃいます。
- サバのおぼろ 2缶分
- 錦糸卵 2個分
- かんぴょう煮、干し椎茸煮 適宜
- かまぼこ 適宜
- 切り干し大根(甘酢漬け) 適宜
- 生姜の甘酢漬け(ビーツ色) 適宜
- 絹さや 5〜6本
盛り付け方のコツ
まるでバラの花のように見えるのは、生姜をビーツで色づけしたもの。ピリッとした辛みが味のアクセントになっていました。岡田さんが「甘い、酸っぱい、塩辛いものが合わさると美味しいんです」と話してくれたように、さまざまな味わいの具材がバランスよく散りばめられていて、最後まで食べ飽きないおいしさです。酢飯だけを食べた時は「少しパンチが控えめかな?」と思いましたが、具材と合わせると相性は言うまでもなく抜群。互いのおいしさを引き立て合い、ひと口ごとに箸が進みます。このちらし寿司を盛りつけるのに選んだのは、オーバル型の飯台。岡田さんも「素敵ですね」と何度もおっしゃっていたほど、やさしい色合いのばらちらしをモダンな印象に見せてくれます。スリムな形なのでテーブルのスペースを有効に使え、蓋付きだから、すぐに食べない時も乾燥しにくく、おいしさを保てます。
このちらし寿司を盛りつけるのに選んだのはオーバル型の飯台です。岡田さんも素敵ですね~と何度も言っていたほど、少し地味目なばらちらしをモダンに見せてくれます。スリムな形はテーブルが有効に使えるし、蓋付きなのですぐ食べない時も乾燥せずおいしく食べられます。
次は公長齋小菅の竹のお重に詰めたお花見バージョンのちらし寿司です。春のお寿司をイメージしてにんじんを蝶の抜き型で抜きました。この野菜ちらし寿司は具材に特別なものはひとつも使っていないので、冷蔵庫の中にある常備菜を活用しても良さそう。下ごしらえしておいた絹さややごぼう、菜の花など、予め材料を用意しておけばこどもと一緒に飾り付けが楽しめます。
- サバのおぼろ 1缶分
- 菜の花 1束
- 切り干し大根(甘酢漬け) 適宜
- 錦糸卵 2個分
- そら豆、干し椎茸、ひじき、ごぼう(甘辛煮) 適宜
- 絹さや、型抜きしたにんじん 適宜
- レモン、ゆず 適宜
盛り付け方のコツ
盛り付けに使用した、公長齋小菅の竹のお重は趣のある佇まいながら、内側にはウレタン加工が施されているためごはん粒が付きにくく、岡田さんも「扱いやすいですね」と太鼓判を押してくれました。冷蔵庫の中にある食材で作れるので、「急な来客があるけれど、手を掛けた料理を作る時間がない!」そんなときも、このお重に詰めれば、パパッと簡単に見栄えのするおもてなし料理を振る舞うことができます。盛り付けのポイントは、彩りのバランス。お重全体のバランスを見ながら、具材を散らしてみてくださいね。
最後は、子どもも大人も大好きな海鮮を使ったちらし寿司です。ボイルしたえびやいくらも加わり、一段と華やかに仕上がりました。盛り付けには、野菜ちらし寿司と同じく公長齋小菅の竹のお重を使用しています。
- サバのおぼろ 1缶分
- いくら、エビ、サーモン、白身魚 適宜
- 切り干し大根(甘酢漬け) 適宜
- ガリ、大葉 適宜
- 錦糸卵 2個分
- かんぴょう 適宜
- 型抜きしたにんじん、絹さや 5〜6本
- レモン、ゆず 適宜
盛り付け方のコツ
今回ご紹介したちらし寿司のレシピは、どれも基本の酢飯とサバのおぼろをベースにしたものです。同じ酢飯でも、組み合わせる具材によって味わいも見た目も大きく変わり、改めてちらし寿司のバリエーションの豊富さを実感しました。実際に作ってみて感じたのは、酢飯さえ丁寧に作っておけば、あとは具材を散らすだけで手軽においしいちらし寿司が作れるということ。料理に時間をかけられない日こそ、ちらし寿司を作ってみたくなりました。
イチから教えていただいた、おいしい酢飯の作り方はいかがでしたか?
今回の酢飯づくりでも活躍した飯台は、おいしい酢飯作りを支えてくれる道具のひとつです。飯台を使うと、しっとり艶やかな酢飯が失敗なく作れ、その後のちらし寿司のおいしさもぐっと引き立ちます。飯台は大きめのサイズが使いやすいといわれていますが、収納場所の都合で難しいという方もいらっしゃると思います。その場合は小さいサイズでも十分活躍してくれますので、ぜひ暮らしの中に飯台を取り入れてみてください。
最後にもうひとつポイントを。それは、合わせ酢を作るときは毎回きちんと酢の分量を量ること。目分量で作ってしまうと、思った以上に酢が効いてしまうなど、味のバランスが崩れる原因になります。ほんのひと手間ですが、このひと手間がおいしい酢飯への近道です。
















